家賃滞納をした場合の強制執行(強制退去)について

自主管理をしているオーナー様の場合は、家賃滞納による強制執行を避けるためにも日頃からの賃料管理(帳簿付け、通帳チェック)が大切です。

コロナ禍では失業などで賃料が支払えなくなるという事態が多発しています。
オーナー様側としても家賃滞納による強制執行はできる限り避けたいでしょう。
今回は強制執行を避けるためにはどのようにすれば良いのか紹介していきます。

■家賃の滞納が起きたら

 失業した、事業に失敗した、引きこもりになった、ギャンブルでお金を使い過ぎたなど、家賃の支払いが滞納されるケースもあります。
家賃を滞納されると、不動産投資物件(分譲賃貸マンション、一棟マンションアパートなど)をローンにて購入しているオーナー様によっては

ローン返済を滞納してしまう恐れがあるなどの悪影響が出るなど困るものです。

 しかしながら、家賃が1ヶ月支払われなかったといっても、即出て行けとは言えません。
賃貸借契約はオーナーと入居者の信頼関係に基づく継続的な契約であるため、契約を解除するためには信頼関係の破綻と認め得る事情が必要です。

 裁判例によれば、一般的には3ヶ月以上の家賃滞納が続き、信頼関係が破綻したとみなされて初めて、賃貸借契約の解除が可能となります。
逆に言うと、家賃の滞納を3ヶ月あまり我慢しなくてはならないということです。


オーナーにとっては家賃収入が途絶えることは、とても困ることです。
特に賃貸経営をしている物件が1つだけで、その入居者に滞納されれば、一切、賃料収入が入らなくなります。
滞納が起こらないように賃料管理をしていくことが大切ですが、もし、滞納が続く場合どうすれば良いのでしょうか。

■必ず督促をしましょう 

 滞納が起きたら、まずは支払い督促を行うことが必要です。
いきなり訴えるなど強権を発動するのではなく、相手の事情を汲みつつ支払ってもらうように促すことが大切です。
電話をする、実際に訪問してみる、それでもダメなら督促状を送るなど、”徐々に”強く求めていくようにします。


電話や口頭で支払いをお願いしても支払ってもらえない場合、配達証明付内容証明で催告兼契約解除通知書というのを発送します。
配達証明とは書留郵便物が配達されたことを証明する郵便です。
配達時に受取人が印鑑を押すことが求められるため、確かに入居者が受け取ったことを証明できます。


そんな郵便物は受け取っていないというトラブルを防げます。
内容証明とはいつ誰から誰宛にどんな内容の文書が発送されたかを証明する郵便です。
同じ内容のものを3通用意し、1通をオーナー、1通を入居者、もう1通は郵便局が保管します。
郵便局という第三者が保管することで、内容を証明する役割を果たします。
催告兼契約解除通知書の文面には、支払期日や合計請求金額を入れ、このまま滞納が続いて支払いがなされない場合には契約解除となり、明け渡し請求をする旨を記載するのが一般的です。
その際、通知書の到達後〇日以内に支払わなければ、賃貸契約を解除し、明け渡し請求をするなど期日を定めておきます。
なお、内容証明は弁護士行政書士など法律の専門家に限らず、不動産管理会社でも作成ができます。

むしろ、不動産管理会社は家賃滞納者とのトラブル対応のプロです。法律の専門家は法律は詳しいですが、残念ながら不動産実務経験できません。

その点、不動産管理会社は数多くの場数を踏んでおり、訴訟になる前に解決されることも多いです。

■期日までの支払いがない場合

 配達証明付内容証明で催告兼契約解除通知書を送り、そこに記載した期日までに支払いがない場合、相手と書面などを取り交わさなくても、賃貸借契約は解除されます。
明け渡し期日までに退去してもらえない場合、訴訟を提起することになります。
支払期日が来るまでの間も、支払いはないものとして訴状の準備のために登記簿謄本や固定資産評価証明書などの取り寄せをしておくとスムーズです。
そのうえで、不動産の明け渡し請求の申し立てを裁判所に行います。
裁判所から申し立て受理の連絡があってから、およそ1ヶ月から1ヶ月半後に第1回期日が開かれるのです。
期日が決まると被告である入居者に訴状の副本と呼出状が送達されます。
被告が出廷しないことも珍しくありませんが、もし、入居者が出廷したら、弁護士が法廷の外、廊下や座談室などで自主的に退去するように交渉するのが一般的です。
判決はしっかりもらう必要がありますが、強制執行は手間もコストもかかるため、できる限り、本人に自ら出て行ってもらったほうが良いからです。
なお、被告が出廷しなかった場合や出廷しても争わない場合には1週間程度で判決が出ますが、争った場合やスムーズにいかない場合には1回で判決が出ることはなく、時間がかかることもあります。

■明け渡し請求に応じない場合

 明け渡しを認める判決が確定し、判決が被告に送達されます。
出廷せずに判決が確定することもあるので、まずは通知が必要です。
郵便局からの送達が完了した通知が裁判所に届き、裁判所が判決送達証明を発行します。
強制執行の申し立てには判決送達証明が必要なので、最短でも1週間ほどかかります。
申し立てから2週間以内に強制執行の執行官が催告を行い、催告から4週間程度で強制執行が行われる流れです。
具体的には執行官が賃貸住宅内に入り、家財などを運び出します。
応答がない場合にはカギ業者を同行して、強制的にカギを開けて内部に入ります。
運び出した家財は倉庫などに保管されますが、搬出費用や保管費用などはオーナーの負担になるのです。
理論的には入居者に請求できますが、家賃さえ払わない入居者に支払いを求めても無理です。
そのため、強制執行に伴い、数十万円ほどの負担をしなくてはなりません。

■契約解除や強制執行に至らないように賃料管理を

家賃滞納により強制執行まで行うことになれば、配達証明付内容証明を送付してから4ヶ月ほどの時間がかかります。
それ以前に3ヶ月以上の滞納期間があるのですから、オーナーとしては少なくとも7ヶ月あまり収入が入ってこないことになるのです。
 明け渡されたからといって滞納された家賃が回収できるわけでもありません。
敷金を受け取っていれば、それを充当できるにとどまります。
賃料収入が滞り、しかも、面倒な手続きと時間、コストの負担が発生するのですから、強制執行まで至らないよう、日頃からの賃料管理が大切です。
毎月、しっかり賃料請求をしてくれ、長期滞納が起こらないようサポートしてくれる賃貸管理会社を選ぶことがおすすめです。

内容証明郵便についてはこちらを(日本郵便ホームページ

https://www.post.japanpost.jp/service/fuka_service/syomei/index.html