連帯保証人制度に潜む5つの重大なリスクとは?保証会社利用への移行が必須な理由

〈概要〉
賃貸経営において、安定した収益を確保し続けるための最大の課題は「家賃滞納リスク」をいかに排除するかという点に尽きます。不動産オーナーの皆様におかれましては、新規の入居希望者が現れた際、入居審査の基準について日々頭を悩ませていらっしゃることと存じます。長年、日本の賃貸借契約においては「親族に連帯保証人になってもらう」という慣習が当たり前のように根付いていました。オーナー様の中にも、「身元がしっかりした親族が連帯保証人についていれば安心だろう」とお考えの方がまだまだ多くいらっしゃるかもしれません。
しかし、現代の賃貸経営において、「連帯保証人制度のみに依存した契約」は、オーナー様にとって極めて危険なリスクを孕んでいます。社会情勢の変化や法改正により、かつて機能していた連帯保証人という安全網は、もはや絶対的なものではなくなってきているのです。
本コラムでは、これからの時代を生き抜く不動産オーナー様に向けて、賃貸借契約において「保証会社」を利用せず、「連帯保証人制度」のみを利用することに潜む重大なリスクについて、法的な観点や現代の社会事情を交えながら徹底的に解説いたします。
▪時代とともに崩壊しつつある「連帯保証人の神話」
リスクについて深く掘り下げる前に、なぜ今、連帯保証人制度の見直しが急務となっているのか、その背景をご説明します。
かつての日本では、終身雇用制度が守られ、親世代にも十分な経済的余裕がありました。そのため、万が一子ども(入居者)が家賃を滞納しても、親(連帯保証人)に請求すればすぐに支払われるという前提が成り立っていました。しかし、現代は少子高齢化が進み、連帯保証人となる親世代の多くが年金生活者となっています。
また、非正規雇用の増加やライフスタイルの多様化により、親族間であっても経済的な相互援助が難しいケースが急増しています。「親族だから必ず払ってくれるはず」という性善説に基づいた連帯保証人の神話は、現代の経済状況下ではすでに崩壊しつつあると言わざるを得ません。
▪連帯保証人制度のみを利用する5つの重大なリスク
ここからは、賃貸借契約において家賃保証会社を利用せず、連帯保証人のみを立てた場合にオーナー様が抱える具体的な5つのリスクについて詳細に解説いたします。
1. 法改正による「極度額」設定の義務化と制限
2020年(令和2年)4月に施行された改正民法により、連帯保証人のルールが大きく変わりました。個人の根保証契約(賃貸借契約の連帯保証などが該当します)において、「極度額(連帯保証人が負担する責任の上限額)」を契約書に明記することが義務化されたのです。
この極度額が書面等で明記されていない賃貸借契約書の連帯保証契約は、無効となります。つまり、入居者が家賃を滞納しても、連帯保証人には1円も請求できなくなってしまうのです。
では、極度額を「1,000万円」などと高額に設定すれば良いかというと、そう簡単な話ではありません。極度額が高すぎると、連帯保証人を依頼された親族が署名を躊躇し、結果として契約自体が破談になるケースが増加します。逆に、入居しやすくするために極度額を「家賃の6ヶ月分」などと低く設定してしまうと、長期の滞納や原状回復費用、訴訟費用が発生した際に極度額をあっという間に超過し、オーナー様が多額の損害を被ることになります。
2. 連帯保証人の高齢化による「支払い能力の欠如」
連帯保証人として最も多く設定されるのは、入居者のご両親です。しかし、入居者が30代、40代となれば、ご両親は60代、70代となり、すでに定年退職して年金生活を送っているケースがほとんどです。
家賃滞納が発生し、いざ連帯保証人に請求を行った際、「年金暮らしで生活が苦しく、息子の滞納分まで支払う余裕がない」「医療費がかさんでおり、まとまったお金がない」と支払いを拒絶される、あるいは物理的に不可能な事態に直面するリスクが非常に高まっています。連帯保証人欄に立派な肩書きや過去の収入が記載されていたとしても、数年後の滞納発生時にその支払い能力が維持されている保証はどこにもありません。
3. 督促業務によるオーナー様の精神的・時間的負担
家賃保証会社を利用していれば、万が一滞納が発生しても、滞納報告の手続きを行うだけで保証会社がオーナー様に代わって家賃を立て替え、さらに入居者への督促業務も全て引き受けてくれます。
しかし、連帯保証人制度のみの場合、オーナー様ご自身(または管理会社)で督促を行わなければなりません。電話に出ない入居者への連絡、連帯保証人への事情説明と請求書の発送、感情的なクレームへの対応など、滞納金の回収業務は想像を絶するストレスを伴います。特に連帯保証人である親族からの「なぜもっと早く教えてくれなかったのか」「息子に直接言ってくれ」といった責任逃れの対応に精神をすり減らすオーナー様は後を絶ちません。貴重な時間を督促業務に奪われることは、賃貸経営における大きなマイナス要因です。
4. 連帯保証人の死亡・破産による「無担保状態」への転落
賃貸借契約は長期にわたることが多く、その間に連帯保証人が死亡したり、自己破産したりするリスクも考慮しなければなりません。
連帯保証人が死亡した場合、その保証債務は相続人に引き継がれるのが原則ですが、相続人が「相続放棄」をした場合、その債務は消滅してしまいます。また、高齢の親が亡くなった後、代わりとなる親族が見つからず、実質的に「連帯保証人不在(無担保状態)」のまま入居が継続されてしまうケースも多々あります。オーナー様が連帯保証人の死亡や破産という事実をタイムリーに把握することは非常に困難であり、滞納が起きて初めて無担保状態になっていることに気づくという最悪の事態になりかねません。
5. 明渡し訴訟・強制執行費用の「未回収リスク」
家賃滞納が長期化し、最終的に契約解除および建物の明渡し(強制執行)を求める場合、弁護士費用や裁判費用、強制執行にかかる予納金など、総額で50万円〜100万円近い費用がかかることが一般的です。
家賃保証会社(訴訟費用補償型のプラン)を利用していれば、これらの法的手続きにかかる費用も保証会社の負担で進めることができます。しかし、連帯保証人制度のみの場合、これらの費用はまずオーナー様が一時的に立て替える必要があります。そして、家賃すら払えない入居者や、年金生活の連帯保証人から、これらの高額な訴訟費用や残置物の撤去費用、原状回復費用を全額回収することは、実務上ほぼ不可能です。結果として「追い出すためにお金を払い、そのお金は泣き寝入り」という状態に陥ります。
▪保証会社と連帯保証人の比較表
リスクをより明確に把握いただくため、両者の違いを比較表にまとめました。
| 比較項目 | 連帯保証人のみ(従来型) | 家賃保証会社利用(現代の主流) |
| 滞納時の収入確保 | 連帯保証人が支払うまで入金されない(未回収リスク大) | 保証会社から規定日に入金される(キャッシュフロー安定) |
| 督促業務の負担 | オーナー様・管理会社が行う(多大な精神的ストレス) | 保証会社が法的な範囲内で専門的に実施(負担ゼロ) |
| 訴訟・強制執行費用 | オーナー様が負担・立替(回収不能になるケースがほとんど) | 保証会社が負担・手配(※契約プランによる) |
| 民法改正(極度額) | 極度額の設定と書面化が必須。超えた分は請求不可 | 審査に通れば、極度額の煩わしい交渉や無効リスクなし |
| 死亡・能力低下リスク | 高齢化や死亡により、突然機能しなくなるリスクあり | 法人としての契約であり、個人のライフイベントに左右されない |
この表からも明らかなように、現代の賃貸経営において、家賃保証会社の利用はもはや
「オプション」ではなく、資産を守るための「必須条件」と言えます。

▪既存契約の見直しと今後の賃貸経営戦略

これから新規で募集を行う物件については、「家賃保証会社の利用を必須」とすることが最も確実なリスクヘッジです。入居希望者にとっては保証委託料(初回・更新)の負担が増えることになりますが、敷金や礼金などの初期費用を調整することで、募集の競争力を維持しながら安全な契約を結ぶことが可能です。
また、すでに連帯保証人のみで契約中の既存入居者に対しては、契約更新のタイミングで保証会社への加入を打診していくことが重要です。更新時に「次回の更新から保証会社の利用をお願いしております」と案内し、初回保証料をオーナー様が一部負担するなどの譲歩を見せることで、保証会社への移行をスムーズに進め、将来的なリスクを少しずつ減らしていく戦略が有効です。
▪賃貸経営のリスク管理はお任せください
ここまで、連帯保証人制度のみを利用することの恐ろしいリスクと、保証会社利用の絶対的な必要性について解説してまいりました。しかし、実際に保証会社を導入するにあたっては、「どの保証会社を選べばいいのか分からない」「現在の入居者にどのように切り替えを交渉すれば角が立たないか不安だ」「保証会社利用を必須にした場合の募集条件のバランスの取り方が難しい」といった、実務的なお悩みが生じることと存じます。
そんな時は、不動産管理のプロフェッショナルであるアルプス住宅サービス株式会社にぜひご相談ください。
当社では、オーナー様の大切な資産を守り、収益の最大化を図るため、以下のサポートを徹底しております。
- 最適な保証会社の選定と導入支援: 数ある保証会社の中から、オーナー様に有利な条件での契約をサポートいたします。
- 既存契約の安全な移行交渉: 現在、連帯保証人のみで契約されている入居者様に対し、トラブルにならないよう丁寧かつ戦略的に保証会社への加入切り替え交渉を代行いたします。
- 強固な審査体制と入居者管理: 滞納リスクを未然に防ぐため、独自のノウハウを用いた厳格な入居審査を実施。入居後もきめ細やかなサポート体制で、トラブルの芽を早期に摘み取ります。
- 空室対策と賃貸条件の最適化: 保証会社を必須とした上でも、競合物件に負けない魅力的な募集条件をご提案し、高い入居率を実現します。
家賃滞納による精神的・経済的ストレスから解放され、心から安心できる賃貸経営を実現するために。私たちはオーナー様の最も頼れるパートナーとして、二人三脚で不動産管理を強力にサポートいたします。賃貸借契約の見直し、保証会社の導入、そして日々の煩雑な賃貸管理業務に少しでもご不安を感じられましたら、まずは一度、お気軽にお問い合わせください。豊富な実績と専門知識を持つスタッフが、オーナー様一人ひとりの状況に合わせた最適な解決策をご提案申し上げます。
